厚生労働省の厚生科学審議会副反応検討部会と、薬事・食品衛生審議会安全対策調査会の合同会議が7月28日に開かれ、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の接種歴がなく、機能性身体症状を有する患者の診療について小児科医からヒアリングを行った。
HPVワクチン接種後の症状を巡っては、厚労省研究班(代表者=祖父江友孝阪大教授)が昨年12月と今年4月に、HPVワクチンに関する全国疫学調査の結果を報告。HPVワクチン接種歴がなくても、接種後に報告されているのと同様の多様な症状を有する者が、一定数いることが明らかとなった。
合同会議では、器質的疾患が除外され、慢性疼痛や運動障害、神経症状を呈する患者の診療経過を4人の医師が報告。対症療法や患者・家族へのカウンセリング、認知行動療法、ハンディキャップを小さくする環境調整、運動の積極的推奨などにより、症状が改善した事例が紹介された。
こうした患者に対する診療体制のあり方について委員から問われた奥山伸彦参考人(JR東京総合病院)は「日本には小児のペインクリニックの医師が1人もおらず、痛みを主体として小児を受け入れる窓口がない」と日本の特殊性を指摘。さらに「これまで(多様な症状を有する小児)は地元の小児科の先生が診ていた。ドクターショッピングをするよりも1人の医師がずっと診るほうが予後は良い」とした上で、「最近は専門分化していて、大学病院や専門病院で原因が分からないと、他に行き場がない状況。痛みに関する診療体制を根本的に見直す必要がある」との考えを示した。