わが国における在宅酸素療法(HOT)の推定患者数は16万5000人である
HOTの疾患内訳で最も多い疾患はCOPDである
1日15時間以上のHOTは高度慢性呼吸不全を伴うCOPD患者の生命予後を改善する
高度慢性呼吸不全を伴うCOPDにおいて,終日HOTを行い歩数の多い患者は,夜間のみの酸素吸入で歩数の少ない患者よりも予後が良好である
わが国では,1984年に在宅(長期)酸素療法(home oxygen therapy:HOT, long term oxygen therapy:LTOT)の医学的な適応基準が日本胸部疾患学会(現在の日本呼吸器学会)より発表され1),1985年に保険適用が認められた。その後,日本胸部疾患学会の適応基準が1988年に改訂されたことで2),保険適用の基準も同年4月に,PaO2 が60mmHg以下で「肺性心を伴う者」が「睡眠時または運動負荷時に著しい低酸素血症をきたす者」と変更された。
1994年にパルスオキシメーターによる酸素飽和度を用いた判定も可能となり,同年に肺高血圧症,2004年にチェーン・ストークス呼吸を伴う慢性心不全が保険適用となった。2008年には呼吸同調式デマンドバルブ加算が新設された。図1はガスレビュー社によるHOTの推定患者数の推移である3)。今年は1985年にHOTが保険適用されてから30年となる節目の年である。保険適用後に患者数は急速に増加したが,2001年以降の増加はゆるやかになり,最近では年間3000人ペースの増加である。2015年の患者数は16万5000人と推定されている3)。
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