2011年4月に2機種の植込み型補助人工心臓(VAD)が保険償還されて以来,現在までに4機種が承認されている。最近ではVADの小型化が進み,体格が小さな患者への植込みが可能となってきた。
植込み型VAD実施施設は全国で40施設まで拡大され,2年生存率は87%と欧米より優れている。年間植込み数は100例を超え,stage Dの重症心不全患者の自宅退院を可能としたのみならず,職場復帰や復学まで実現させた。しかし,依然として合併症は少なからずみられ,安全なVAD装着実現のための患者教育はきわめて重要である。また,長期にわたるVAD装着を安定して実現するための薬物療法の役割が注目されている。わが国では,現在は移植への橋渡しの目的のみであるが,今後,destination therapyとしての導入が検討されている。
1 わが国における植込み型VADの特徴と臨床成績
東京大学大学院医学系研究科臓器病態外科学講座心臓外科学教授/医工連携部部長 小野 稔
2 植込み型VAD装着の周術期管理と外来管理
東北大学大学院医学系研究科心臓血管外科学分野講師 秋山正年
東北大学大学院医学系研究科心臓血管外科学分野教授 齋木佳克
3 植込型VAD装着中の薬物治療
東京大学大学院医学系研究科重症心不全治療開発講座特任教授 絹川弘一郎