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【欧州糖尿病学会(EASD)速報】日本人2型糖尿病例に対する多面的介入で心血管系イベントは減少せず:J-DOIT3

登録日: 2017-09-19

最終更新日: 2017-09-19

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リスボン(ポルトガル)にて開催された欧州糖尿病学会(EASD)において、9月15日、日本における2型糖尿病を対象にした“J-DOIT3”が報告された。「血糖・血圧・脂質」に対する多面的強化介入の有用性を検討したランダム化試験である。2型糖尿病例への多面的強化介入は、2003年の160例を対象にしたランダム化試験“Steno-2”で、心血管系(CV)イベント抑制作用が示されている。しかし、J-DOIT3では有意差とならなかった。

■「強化」治療群では「HbA1c:6.8%」「血圧:123/71mmHg」「LDL-C:85mg/dL」

J-DOIT3の対象は、高血圧と脂質異常症を合併する(含:服薬下コントロール例)、未治療ないし経口血糖低下薬1剤(±αグルコシダーゼ阻害薬)服用で「HbA1c≧7.0%」の2542例である。1次予防、2次予防は問わない。

試験開始時のHbA1cは8.0%、血圧は概ね135/80mmHg、LDL-Cは125mg/dLだった。

これら2542例は、「通常」治療群と「強化」治療群にランダム化され、非盲検下で追跡された。「強化」群ではHbA1c、血圧、脂質代謝のすべてで、「通常」群に比べ厳しい管理目標値が設けられている。

その結果、到達HbA1cは「通常」群の7.2%に対し、「強化」群では6.8%と有意に低値となっていた。同様に、血圧は「129/74mmHg vs. 123/71mmHg」、LDL-Cも「104mg/dL vs. 85mg/dL」と、「強化」群でいずれも有意に低値となっていた。

およそ9年間の追跡期間中、1次評価項目である「死亡・脳卒中・心筋梗塞・冠血行再建術」は「強化」群で低値となったものの(ハザード比:0.81)、有意差とはならなかった(95%信頼区間:0.63-1.04)。

なお、試験開始後1年間のイベント発生率から算出すると、必要症例数は3338例だったという。J-DOIT3研究グループは、2021年まで観察を継続する予定である。

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