株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

日常診療における高齢者の軽度貧血への対応【血液状態を含む全身状態や合併症,社会的な状況などの総合的判断が重要】

No.4876 (2017年10月07日発行) P.56

石澤賢一 (山形大学医学部附属病院第三内科教)

宮﨑泰司 (長崎大学原爆後障害医療研究所原爆・ヒバクシャ医療部門血液内科学研究分野(原研内科)教授)

登録日: 2017-10-10

最終更新日: 2017-10-03

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 高齢者では,時に軽度の貧血が認められることがあります。高齢になると骨髄異形成症候群の頻度が増加することもあり,どの程度までの検査が必要か判断に苦慮することもあります。日常診療における高齢者の貧血への対応に関して,長崎大学・宮﨑泰司先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    石澤賢一 山形大学医学部附属病院第三内科教授


    【回答】

    厚生労働省による「平成27年国民健康・栄養調査報告」(2017年3月刊行)では,貧血治療を受けていない人の採血検査において,70歳以上の人々では,男性のヘモグロビン値13g/dL未満の割合は21.4%,女性のヘモグロビン値12g/dL未満の割合は22.4%と報告されています。一般的な貧血の定義を当てはめると,1/5以上が貧血ということになります。高齢者貧血のヘモグロビン基準値を男性12g/dL,女性11g/dLとすると,それ未満の割合はそれぞれ9.9%,6.1%となります。

    こうしたこともあって,特発性造血障害に関する調査研究班による「特発性造血障害疾患の診療の参照ガイド(平成28年度改訂版)」では,高齢者の場合は,男性においては12g/dL,女性においては11g/dL未満を骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS)診断における貧血の基準と設定しています。

    残り668文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top