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労働安全衛生規則等の改正【産業医の担当業務の拡大,ニーズの変化をもとに施行】

No.4880 (2017年11月04日発行) P.55

諏訪園 靖 (千葉大学環境労働衛生学教授)

登録日: 2017-11-05

最終更新日: 2017-10-31

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ストレスチェック制度が導入され,産業医の担当業務が増大している。加えて,産業構造の変化に伴い,産業保健における課題や産業医へのニーズが変わりつつある。そのため,産業医制度の在り方に関する検討会が開設され,2016年に報告書がまとめられた。過重労働による健康障害,メンタルヘルス対策等の重要性から,特に嘱託産業医による効率的な産業医業務が必須であり,職場巡視と他の手段の組み合わせによる情報収集の重要性が示された。これをふまえ17年3月,労働安全衛生規則等が改正され,6月に施行された。その概要は,以下の通りである。

(1) 事業者は,定期あるいは特殊健診結果に対し医師等が就業上の措置等を行う上で必要な労働者の業務に関する情報を求められたとき,提供しなければならない(医師等からの意見聴取に必要な情報の提供)。

(2) 事業者は,時間外労働が月当たり100時間を超えた労働者の氏名および超過時間に関する情報を産業医に提供しなければならない(長時間労働者に関する情報の提供)。

(3) 産業医巡視については,事業者から月1回以上産業医に,衛生管理者の巡視結果が提供され,また安全衛生委員会の審議を経て,業務に必要な情報が月1回以上産業医に提供され,さらに事業者の同意がある場合には,産業医巡視の頻度を,少なくとも2月に1回にできる(産業医巡視の頻度の見直し)。

本改正の趣旨は,単に嘱託産業医の訪問回数を減らしてよいということではなく,労働者の就労状況とその背景を把握できる仕組みを導入し,さらなる産業医の貢献を期待したものである。

【解説】

諏訪園 靖 千葉大学環境労働衛生学教授

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