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ピロリ菌感染と症状との関係は?【胃・十二指腸潰瘍がない場合は,内視鏡で炎症所見がみられても無症状例が多い】

No.4885 (2017年12月09日発行) P.65

永原章仁 (順天堂大学医学部附属静岡病院消化器内科教授)

北條麻里子 (順天堂大学医学部消化器内科先任准教授)

登録日: 2017-12-09

最終更新日: 2017-12-05

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  • 胃の常在菌としてのHelicobacter pylori(ピロリ菌)の存在は,胃の種々の症状とはほとんど相関がないと言われていますが,もともとピロリ菌は,胃・十二指腸潰瘍の原因菌として発見されたはずです。潰瘍の場合は症状があると思います。ピロリ菌は,感受性がある者には潰瘍を起こすものの,感受性のない者はまったく無症状ということなのでしょうか。順天堂大学附属静岡病院・永原章仁先生にご解説をお願いします。

    (千葉県 K)


    【回答】

    ピロリ菌の感染は,胃の種々の症状とはほとんど相関がないと言われていますが,これは,胃・十二指腸潰瘍がない場合です。胃・十二指腸潰瘍がない場合においても,ピロリ菌は細菌感染症ですので,胃の中に炎症を起こします。かぜを引くと,喉が赤くなり,黄色い鼻水が出ますが,ピロリ菌は胃に慢性感染する細菌ですので,内視鏡では発赤,浮腫,白濁粘液などの炎症所見がみられます。こういったピロリ菌感染でみられる内視鏡所見は,自覚症状とほとんど関連しないことが知られているのです。ただ,10人に1人は,除菌によって症状が改善する患者がおられるので,まったく症状に関係しないわけではありません。したがって,ピロリ菌に胃は反応しているものの,症状の観点からは,「感受性」がなく無症状例が多いのです。

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