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免疫チェックポイント阻害薬の内分泌機能障害 【下垂体や甲状腺の機能低下をもたらす】

No.4888 (2017年12月30日発行) P.57

高畑 尚 (慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科)

栗原 勲 (慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科講師)

伊藤 裕 (慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科教授)

登録日: 2017-12-31

最終更新日: 2017-12-22

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下垂体や甲状腺の機能低下は他の内分泌疾患同様,症状が非特異的かつ多彩なことも多く,専門内科以外でも,あらゆる科で遭遇しうる。その原因としては,リンパ球性下垂体炎や橋本病がよく知られ,比較的高い頻度で遭遇するが,今後その原因疾患に,幅広い適応で開発が進む免疫チェックポイント阻害薬に関連する内分泌機能障害が入ってくる可能性が高い。

免疫チェックポイント阻害薬は免疫抑制の経路を阻害することで腫瘍免疫を活性化し抗腫瘍作用を示す薬剤であるが,一方で免疫反応が過度になることで免疫関連副作用(irAE)を生じることが知られている。内分泌臓器の障害としては甲状腺と下垂体が多い。薬剤により出現する内分泌機能障害の種類と頻度が異なると考えられており,甲状腺機能異常は抗PD-1抗体で,下垂体機能異常は抗CTLA-4抗体で頻度が高いことが報告されている1)。甲状腺機能は亢進する場合もあるものの低下の頻度が高く,破壊性甲状腺炎やバセドウ病に続く形で機能低下をきたすことも多い。下垂体については,リンパ球性下垂体炎に比べ後葉障害の頻度が少ない特徴がある。臨床的に最も重篤となりうるのは副腎クリーゼを発症した際で,緊急の対応が求められる。また,まだ少数ではあるが,上記に加え重要な内分泌疾患として1型糖尿病の急性発症が報告されており,重篤な高血糖やケトアシドーシスを伴うことがあり,注意を要する。

【文献】

1) 岩間信太郎, 他:日臨免疫会誌. 2017;40(2):90-4.

【解説】

高畑 尚*1,栗原 勲*2,伊藤 裕*3  *1慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科 *2同講師 *3同教授

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