(東京都 S)
遠志はヒメハギ科(Polygalaceae)のイトヒメハギ(Polygala tenuifolia Willdenow)の根を基原とする生薬で1),約2000年前(漢の時代)に編纂された『神農本草経』に記載され,現在でも使用されている重要生薬の1つです。
遠志は古来より物忘れなどに効果があるとされ,「志を遠くする病気に効果を示す」という意味で名づけられたと言われており,道教の教義でも,「寧静致遠」「安心益智」の作用を持つと言われています。明の時代の医師である李 時珍(1518~1593年)も,中国本草学の集大成とも呼ぶべき『本草綱目』の中で,「よく智を益し,志を強くする」と述べており,現代でも,帰脾湯,加味帰脾湯,人参養栄湯,加味温胆湯など同様の目的で使用される漢方処方に配合されています。
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