心原性失神はあらゆる方法で原因を明らかにする必要がある
心原性失神でも反射の関与が考えられる例には,チルト試験を有効に活用する
最終的には植込み型ループレコーダー(ILR)を用いる
失神は急激に生じて,持続が短く,診察時には完全に回復するため,診断が困難で,原因不明とされる症例が20~40%に及ぶ。しかし,失神の予後についてみると,心原性の場合は突然死の原因となるので原因を明らかにしなければならない。失神の診断にチルト試験(head-up tilt test:HUT)が導入されるようになって1)~3),以後,失神に対する神経反射の関与の重要性が明らかとなった。さらに近年になると,わが国でも植込み型ループレコーダー(implantable loop recorder:ILR)が原因不明の失神に用いられるようになり,予後不良の心原性失神の診断率の向上が望めるようになってきた4)。
失神は,①意識消失があり,②一過性で,③急激に発症し,④短時間で,⑤自然に完全に回復する,と定義される5)6)。
原因は脳全体の一過性灌流低下による。意識消失のない意識障害や転倒は失神とは言わない。また,昏睡や蘇生例は失神から鑑別される。その結果,最終的に鑑別が必要なのは失神,てんかん,精神疾患,などとなる。
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