脂質異常症というと生活習慣病の印象が強く,治療への気合いも高血圧,糖尿病の後塵を拝している感がある中,こと家族性高コレステロール血症(FH)については格段の意識を持って管理する必要があるというのが脂質専門家の共通認識である。
きわめて卑近で危険な遺伝性疾患でありながら,スタチンが浸透して埋もれがち,されどFire and Forgetで済ますことのできないこの疾患病態に新しい原因分子と治療薬が登場した。指導的な3人の先生方にFHルネッサンスを呼び起こすべく,ご執筆頂いた。新しい視点を受けて,FHは日常診療の中にあることをいま一度思い起こして頂ければ幸いである。
1 家族性高コレステロール血症の 新しい診断,病態,臨床update
国立長寿医療研究センター副病院長 荒井秀典
2 家族性高コレステロール血症の新しい主役PCSK9
金沢大学大学院医薬保健学総合研究科先進的地域医療研究講座脂質研究室特任准教授 野原 淳
3 家族性高コレステロール血症:明日への治療─PCSK9,APOBをターゲットとした分子標的薬
国立循環器病研究センター研究所病態代謝部/大阪大学大学院薬学研究科生物有機化学分野 和田郁人
国立循環器病研究センター研究所病態代謝部部長 斯波真理子