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diabetic kidney disease(DKD)とdiabetic nephropathyの概念の相違点は?【DKDは広く「糖尿病のあるCKD」を意味し,糖尿病性腎症は単一疾患的な意味合い】

No.4895 (2018年02月17日発行) P.52

藤田征弘 (旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野講師)

荒木信一 (滋賀医科大学糖尿病内分泌・腎臓内科准教授)

登録日: 2018-02-20

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  • 最近,diabetic kidney disease(DKD)という概念や名称をよく聞きます。いわゆる古典的な糖尿病性腎症(diabetic nephropathy)との相違点について,臨床的,病理学的,病態生理学的にご教示下さい。滋賀医科大学・荒木信一先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    藤田征弘 旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野 講師


    【回答】

    「diabetic nephropathy」は,糖尿病に特有な細小血管合併症のひとつであり,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の主要な原因疾患です。1型糖尿病での腎症の典型的な臨床経過は,糖尿病発症後の比較的早期から糸球体過剰濾過(hyperfiltration)が生じ,微量アルブミン尿期,顕性蛋白尿期を経て,その後腎機能が低下して末期腎不全期に至ります。2型糖尿病では糖尿病の発症時期が不明瞭なため,糖尿病と診断されたときには既に蛋白尿を認める症例も少なくありませんが,典型的な腎症の自然史は1型糖尿病とほぼ同様の臨床経過をたどると考えられています。

    近年,糖尿病や高血圧などに対する治療成績の向上と糖尿病患者の高齢化により,典型的な腎症の臨床経過ではなく,アルブミン尿の増加を伴わず腎機能が低下する症例が増加しています。また,2型糖尿病はcommon diseaseであり,その他の腎疾患を偶然に併発することもめずらしくありません。特に,加齢,動脈硬化,高血圧などによる腎硬化症を合併した場合,従来のdiabetic nephropathyと区別することは難しく,糖尿病に特有の合併症であるdiabetic nephropathyの概念そのものがあいまいとなってきました。

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