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肥満関連腎症と尿細管障害【肥満関連腎症は糸球体病変だけでなく,尿細管障害もきたしうる】

No.4904 (2018年04月21日発行) P.48

猪阪善隆 (大阪大学腎臓内科教授)

登録日: 2018-04-18

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食生活の変化に伴い高度肥満(BMI>30)を呈する人が増加している。肥満が腎臓に及ぼす影響として,糸球体濾過量の増加,腎血流の増加,腎腫大が報告されている。糸球体の腫大と巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)を伴う腎障害と肥満との関連が注目され,全身性疾患を示さない著しい肥満において,ネフローゼレベルの蛋白尿を示す病態として肥満関連腎症が定義されている1)。興味深いことに,筆者らは肥満患者の腎生検像において,近位尿細管細胞にリン脂質が蓄積した拡張リソソームが観察されることを見出した2)

大隅良典氏がオートファジーの研究によりノーベル医学・生理学賞を受賞されたことは記憶に新しい。従来,オートファジーは非特異的で大量の細胞内分解を担うと考えられてきたが,障害されたミトコンドリアの分解など,選択的なオートファジーが存在することが明らかとなった。高脂肪食によりオートファジーはいったん活性が上昇し,リソソーム内へと運ばれるリン脂質が増加する。しかし,高脂肪食摂取が持続すると,リソソーム内の酸性化が障害されるようになり,オートファジー系が停滞し,リン脂質が蓄積したリソソームが集積するようになる。ヒトにおいても,肥満による腎障害のメカニズムとして糸球体病変だけでなく,オートファジー系の停滞による尿細管障害が存在することが明らかとなってきた2)

【文献】

1) Weisinger JR, et al:Ann Intern Med. 1974;81 (4):440-7.

2) Yamamoto T, et al:J Am Soc Nephrol. 2017;28 (5):1534-51.

【解説】

猪阪善隆 大阪大学腎臓内科教授

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