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妊娠高血圧症候群の臨床診断,治療の展望【診断の幅が広がりつつあり,予防法について有望な報告も】

No.4905 (2018年04月28日発行) P.57

菅原準一 ( 東北大学東北メディカル・メガバンク機構教授)

齋藤 滋 (富山大学医学薬学研究部産科婦人科学教授)

登録日: 2018-04-25

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  • 学説の疾患とされる妊娠高血圧症候群ですが,精力的な研究がなされているにもかかわらず,長年,診断・治療のブレイクスルーは訪れていません。一方,欧米における大規模な臨床試験において,早期予測や個別化予防への端緒となる知見が少しずつ得られてきています。今後の臨床診断,治療の方向性や展望について,富山大学・齋藤 滋先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    菅原準一 東北大学東北メディカル・メガバンク機構教授


    【回答】

    これまで妊娠20週までに高血圧を認めた際は,妊娠高血圧症候群には含めていませんでしたが,2018年度の妊娠高血圧症候群の新定義・臨床分類改定では,これらの症例も妊娠高血圧症候群に含め,高血圧合併妊娠として管理するようになりました。そのため英語表記もpregnancy induced hypertension(PIH)から,hypertensive disorders of pregnancy(HDP)に変更になりました。

    すなわち,妊娠時に高血圧を認めた場合はHDPと診断され,もともと高血圧であった人が妊娠した場合と,妊娠20週までの妊婦健診で高血圧を認めた場合は高血圧合併妊娠(chronic hypertension)と診断されます。

    妊娠・出産年齢が高齢化することにより,高血圧合併妊娠が増えてきました。これからは内科医と産婦人科医が共同で管理することが求められます。妊娠初期から使用できる降圧薬はメチルドパ,ラベタロール,ヒドララジンであり,妊娠20週以降ではニフェジピンも使用できます。一方,アンジオテンシン変換酵素阻害薬(angiotensin-converting-enzyme inhibitor:ACEI),アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(angiotensinⅡ receptor blocker:ARB)は妊婦に投与することが禁忌となっているため,妊娠判明後は中止し,他の降圧薬への切り替えをお願いします。

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