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医学生が実施可能な医行為、27年ぶり改訂 「必須」「推奨」の2分類で例示―診療参加型臨床実習を推進

No.4907 (2018年05月12日発行) P.21

登録日: 2018-04-26

最終更新日: 2018-04-26

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臨床実習中の医学生が指導医の監督下で実施できる医行為の範囲が、27年ぶりに見直される。医道審議会医師分科会(井廻道夫分科会長)は4月25日、改訂内容を盛り込んだ厚生労働省研究班の報告書案を概ね了承した。厚労省は5月中にもパブリックコメントを募集し、最終版の確定後、各大学に周知する方針だ。

現在の医学部5年生で行う臨床実習では、1991年に厚生省(当時)の委員会が策定した「前川レポート」と呼ばれる報告書に基づき、医学生による医行為が実施されている。ただ、前川レポートで示されている医行為であっても、臨床実習を通して医学生が十分に経験できていない状況が示唆されている。厚労省研究班(主任研究者=門田守人 日本医学会連合会長)が医学部5年生9268人に行った実態調査によると、医行為を「自信を持って行える」とした回答の割合は総じて低く、最も高かった「皮膚消毒」でも35.9%だった。

今回の改訂では、こうした調査結果を踏まえ、国際潮流となっている診療参加型臨床実習の推進を図る。医学生に許容される医行為については、医師養成の観点から、臨床実習中に実施が開始されるべき「必須項目」と、臨床実習中に開始されることが望ましい「推奨項目」の2つに分類し、それぞれ例示している(表)。



■共用試験の公的位置づけを今後検討

医学生が医行為を行うには、医師の医行為と同程度の安全性を確保し、無免許医業を禁じた医師法上の違法性を阻却する必要がある。そのため①指導医がきめ細やかな指導・監視を行い、必要があれば直ちに制止・介入する、②共用試験(CBT)の合格者に限る、③患者から口頭・文書で同意を得る―などの条件を設ける。

ただし、指導・監督を指導医だけで行うのはマンパワーの面で現実的でないため、指導医の指示があれば、初期研修医や専攻医による屋根瓦式指導も認める。患者からの同意取得については、医行為の範囲を示した上で「包括同意」を得ることとし、例示に記載のない医行為が含まれる場合には個別説明を求める。

また、CBTは現在、第三者機関の「医学系大学間共用試験実施評価機構」(CATO)が行っているが、今後は国が合格基準を設定するなど、公的な位置づけとする方向で検討が進められる見通しだ。

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