編: | 前田圭介(国立長寿医療研究センター老年内科医長/愛知医科大学大学院緩和・支持医療学客員教授) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 188頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2022年04月25日 |
ISBN: | 978-4-7849-6679-0 |
付録: | 無料の電子版(HTML版)が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
◆誤嚥性肺炎診療に携わるすべての臨床医にお届けします!
◆高齢化の進展に伴い誤嚥性肺炎患者も増加し、高齢者診療に携わる医療者にとって、誤嚥性肺炎の推論と治療スキルの向上が不可欠となっています。
◆本書は、誤嚥性肺炎診療の特徴を体系的に理解できるよう、「総論」「評価・予防」「摂食嚥下障害と口腔問題」「リハビリテーション」「栄養」「マルチモビディティ」「ポリファーマシー」「エンド・オブ・ライフ」などの切り口で構成。
◆誤嚥性肺炎診療の専門家の知を結集し、誤嚥性肺炎に関する最新知見と、明日の臨床に役立つ現場対応のポイントについてわかりやすく解説。一律に禁食で治療を行うという従来の常識が覆ります!
本書は、Webコンテンツ(PDF版+HTML版)としても別途ご購入いただけます
1章 総論
1 誤嚥性肺炎の診断,有病率とリスク因子
2 誤嚥性肺炎薬物治療
3 誤嚥性肺炎と化学性肺臓炎
2章 各論
A評価・予防
1 肺炎重症度指標
2 誤嚥性肺炎と他疾患の鑑別
3 誤嚥性肺炎における高齢者総合機能評価
4 担当医が診る摂食嚥下機能評価
5 誤嚥性肺炎を予防するエビデンス
B摂食嚥下障害と口腔問題
1 脳卒中後の嚥下障害と誤嚥性肺炎
2 誤嚥性肺炎を予防・治療する摂食嚥下リハビリテーション
3 誤嚥性肺炎とサルコペニアの摂食嚥下障害
4 口腔問題と誤嚥性肺炎リスク
5 口腔および嚥下の問題と食形態の選択
Cリハビリテーションと栄養
1 誤嚥性肺炎と医原性サルコペニア
2 誤嚥性肺炎におけるリハビリテーション栄養
3 誤嚥性肺炎患者に対する絶食管理の功罪
4 誤嚥性肺炎治療における静脈栄養の処方
5 誤嚥性肺炎患者の食べる支援
6 誤嚥性肺炎予防と治療における嚥下調整食の役割
D高齢者の併存疾患・ポリファーマシー
1 誤嚥性肺炎患者の multimorbidity
2 誤嚥性肺炎に関連するポリファーマシー
3 誤嚥性肺炎治療におけるチームアプローチ
Eエンド・オブ・ライフ期
1 在宅医療の現場で行う誤嚥性肺炎診療
2 人工栄養の選択に関する意思決定支援―本人と代弁者家族にどのような意思決定支援を行うべきか
3 誤嚥性肺炎治療をしないという選択肢
巻頭言
私たち老年科医が頻繁に診る誤嚥性肺炎は加齢とともに発症率が上昇し,生命予後も不良です。しかし,その要因は,どうしても避けられない人生晩年に生じる誤嚥性肺炎から,予防が可能だったかもしれない誤嚥性肺炎,私たちのケアが足りなかったことによって生じたかもしれない誤嚥性肺炎など多様です。急性期病院における高齢者誤嚥性肺炎の死亡率は1割とも言われます。老年科医,高齢者診療に携わる医療者にとって,誤嚥性肺炎の的確な評価や診断推論,および治療の腕を磨くことは不可欠だと考えています。
誤嚥性肺炎治療は抗菌薬選択だけで完結しない,というのが近年のコンセンサスです。 集学的な多面的介入によって治療予後の向上が期待できます。 また,予防的なアプローチも同様に多面的介入が軸だと言われます。高齢者を疾病という一点のみから診るのではなく,多角的視点で評価することの大切さがうかがわれます。
本企画は誤嚥性肺炎診療の特徴をできるだけ体系的に理解いただけるよう,総論,評価,食べる問題,リハビリテーション,栄養,マルチモビディティ,ポリファーマシー,エンド・オブ・ライフといった切り口で構成しました。誤嚥性肺炎診療は従来,一律に禁食で治療を行うのがあたかも正しいことのように臨床に浸透していました。しかし,そうした画一的な対応は,多角的視点で患者を評価し,個別化した医療を提供する場合,「食べる機能が保たれている患者に本当に禁食が必要なのだろうか」「栄養不足の原因になっているのではないか」など,臨床上の疑問が浮かびます。
本書は,このような臨床上の疑問に答えるとともに,各領域の専門家であり且つ誤嚥性肺炎診療に造詣の深い先生方の知を結集したものとなりました。誤嚥性肺炎の予防と治療に困ったとき,本書が実践の一助となることを願っています。