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膵β細胞の再生と臨床応用の現状は?【ヒトiPS細胞由来の膵島様組織の1型糖尿病患者への移植をめざした準備が進行中】

No.4920 (2018年08月11日発行) P.61

前田士郎 (琉球大学医学部先進ゲノム検査医学講座教授)

長船健二 (京都大学iPS細胞研究所増殖分化機構 研究部門教授)

登録日: 2018-08-09

最終更新日: 2018-08-06

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  • iPS細胞などからの膵β細胞の再生はどこまで進んでいるのでしょうか。また,将来どのようにして臨床応用されるでしょうか。京都大学・長船健二先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    前田士郎 琉球大学医学部先進ゲノム検査医学講座教授


    【回答】

    近年,無限の増殖能と全身の細胞種への多分化能を有する人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell:iPS細胞)から作製される膵細胞を移植することによって,1型をはじめとする糖尿病の根治を図る再生医療の開発が世界中で研究されており,膵島移植におけるドナー不足の問題の解決が期待されています。

    ヒトiPS細胞の分化誘導技術が進展し,in vitroでiPS細胞から膵島様の組織が作製可能となっています。このiPS細胞由来の膵島様組織は,ヒト体内の膵島とまったく同等とまではいきませんが,グルコース応答性インスリン分泌能をはじめとする生理機能を有しています。また,その膵島様組織を糖尿病モデルマウスの体内に移植すると,数カ月間にわたり血糖値を低下させる治療効果を発揮します。

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