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甲状腺疾患 [今日の新しい臨床検査─選び方・使い方(5)]

No.4773 (2015年10月17日発行) P.42

監修: 前川真人 (浜松医科大学医学部臨床検査医学教授)

日高 洋 (大阪大学大学院医学系研究科病院臨床検査学准教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-10

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  • 1. 甲状腺疾患の検査の進め方

    甲状腺機能異常を疑うべき症状,所見を図1に示した。生体内に甲状腺ホルモンが過剰に存在し,そのために甲状腺ホルモン作用が過度に発揮されている状態が甲状腺中毒症で,体重減少,多汗,頻脈などの症状を呈する。一方,甲状腺ホルモン作用が不十分な状態が甲状腺機能低下症で,体重増加,寒がり,徐脈などの症状を呈する。また,総コレステロール低値,ALP高値の場合は甲状腺中毒症,総コレステロール高値,CK高値の場合は甲状腺機能低下症の可能性がある。
    甲状腺の腫大を認める場合にも甲状腺機能異常の可能性がある。甲状腺中毒症や甲状腺機能低下症が疑われれば,遊離サイロキシン(FT4),遊離トリヨードサイロニン(FT3),甲状腺刺激ホルモン(TSH)の血液検査を行う。
    甲状腺が腫大している場合には超音波検査も施行して,甲状腺に結節を認める場合には悪性所見(形状不整,境界不明瞭,内部低エコーなど)の有無と結節の大きさにより,穿刺吸引細胞診を施行する症例を決める。充実性病変の場合,悪性を強く疑う場合には5mm以上,悪性の疑いがある場合には1cm以上,悪性所見がない場合でも2cm以上の場合は穿刺吸引細胞診を行う。嚢胞性病変の場合は,充実性成分を伴い,その充実性部分が1cm以上の場合,あるいは5mm以上で悪性を疑わせる所見がある場合に,穿刺吸引細胞診を行う。
    日本甲状腺学会が発行している『甲状腺結節取扱い診療ガイドライン2013』1)も参考にして頂きたい。

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