吸入ステロイドだけではコントロールできない喘息患者の治療に用いられる生物学的製剤は,従来より使用されていた抗IgE抗体に加え,抗IL-5抗体,抗IL-5Rα抗体が新たに臨床に登場しました。それに伴い,実臨床においてこれら製剤をどのように使い分けていくべきかという問題も生じていますが,その使い分けのポイントについてご解説下さい。また,重症喘息治療において,経口ステロイドやサーモプラスティなどの治療法に対して,生物学的製剤をどのようなタイミングで用いるべきかご教示下さい。
東京女子医科大学・多賀谷悦子先生にご回答をお願い致します。
【質問者】
權 寧博 日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野教授
【高用量吸入ステロイドを用いた従来の治療でもコントロール不良なTh2優位型では生物学的製剤を導入】
高用量吸入ステロイド(inhaled corticosteroid:ICS)に長時間作用性β2刺激薬,ロイコトリエン受容体拮抗薬,長時間作用性抗コリン薬のチオトロピウムやテオフィリン製剤など複数の抗喘息薬を継続しても,喘息コントロール不良でしばしば全身性ステロイドの投薬が必要となる重症喘息において,生物学的製剤およびサーモプラスティによる治療が適応となります。その前に,吸入アドヒアランスや好酸球性副鼻腔炎など合併症の治療が適切に行われているかを確認し,ホコリ,ダニや職業性の抗原など感作アレルゲンや喫煙などの増悪因子の回避の指導を行うことが大切です。
残り867文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する