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肥満外科治療の現況は?

No.4936 (2018年12月01日発行) P.57

福井道明 (京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・代謝内科学教授)

龍野一郎 (日本肥満症治療学会理事長/東邦大学医療センター佐倉病院内科学講座主任教授)

登録日: 2018-12-02

最終更新日: 2018-11-27

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  •  肥満外科治療の現況について,ご教示下さい。東邦大学・龍野一郎先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    福井道明 京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・代謝内科学教授


    【回答】

    【安全な肥満外科手術をめざして肥満外科手術施設の認定を進めている】

    肥満外科手術(減量手術:bariatric surgery)は美容整形的な脂肪吸引とは根本的に異なり,摂食制限を狙った胃バンド術,胃を細くする胃袖状手術(スリーブ術),胃と腸をつなぎ替える胃バイパス手術の3法が代表的手法です。

    減量治療としては運動・食事・認知行動,それに薬物を加えた内科治療が基本ですが,BMI 35以上の高度肥満患者は食育環境,独特の性格特徴,精神疾患の合併,不適切なストレス対応,食行動異常,不適切な認知など複合的要因により内科治療の効果は限られ,減量できてもリバウンドする確率が高い状況でした。このため欧米では広く減量手術が行われ,既に手術の長期にわたる減量効果と安全性が証明されており,米国では年間20万件,全世界で50万件を超える手術が行われています。

    近年,肥満2型糖尿病患者に対しても術後体重の減少とは独立した糖代謝改善が認められ,代謝手術(metabolic surgery)とも呼ばれるようになりました。このため,米国糖尿病学会は肥満2型糖尿病の患者に対して2017年のガイドラインで代謝手術として,BMI 30(アジア人27.5)以上の患者に推奨し,2017年にロンドンで開催されたThe 2nd Diabetes Surgery Summit(DSS-II)では,同様の治療アルゴリズムが公表され,日本糖尿病学会もこのアルゴリズムに賛同を表明しています。

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