【ともに先進医療に指定。開腹手術と比較し低侵襲で治療成績も劣らない】
わが国ではⅠA2~ⅡB期の子宮頸癌に対し広汎子宮全摘術が行われているが,現在,開腹手術が標準術式であり,侵襲が大きい。しかし近年,低侵襲な腹腔鏡下およびロボット支援下手術が可能になってきた1)。
腹腔鏡下手術は,開腹手術と比較し低侵襲で治療成績も劣らないとするいくつかの報告を受け,2014年からⅠA2,ⅠB1,ⅡA1期を対象に先進医療に指定され,国内の一部の施設で実施されている。ロボット支援下手術も腹腔鏡下手術と同様に,16年からⅠA2~ⅡB期を対象に先進医療に指定された。現状では腹腔鏡下手術と比較した場合の利点は明確ではなく,コストの問題からも,さらに限られた施設でのみ実施されている。
一方,最近の動向として,18年度よりロボット支援下の子宮体癌手術が保険収載されることとなった。今後,子宮頸癌に対しても同じく収載が期待される。これにより,欧米と同様にロボット支援下の手術が普及することが考えられる。
画像処理やモニター画素数の飛躍的な進化もあり,器材やシステム面でのさらなる改善も期待されるものの,腹腔鏡下手術またロボット支援下手術のいずれも,今後,子宮頸癌の標準術式となるためには,安全性や有効性の検証,専門医の育成が,わが国においてもますます必要となる。
【文献】
1) Park DA, et al:Eur J Surg Oncol. 2017;43(6):994-1002.
【解説】
松本治伸*1,楢原久司*2 大分大学産科婦人科 *1講師 *2教授