【オシメルチニブ使用に際して病変組織の採取およびT790M変異陽性の確認が必要】
第1・2世代EGFR─チロシンキナーゼ阻害薬(T KI)による治療後にT790M変異により耐性をきたした手術不能または再発非小細胞肺癌症例において,第3世代EGFR-TKIのオシメルチニブによる治療を行うことが推奨されている1)。
同薬を選択するには,第1・2世代EGFR─TKI治療開始後に固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECISTガイドライン)による効果判定で進行を認めた時点で,アプローチ可能な病変から再生検で組織を採取して,T790M変異陽性を確認する必要がある。再生検の際は,肺病変に対しては気管支鏡検査もしくはCTガイド下生検を実施することが多いが,必要に応じて遠隔転移巣の生検や外科的肺生検を行うこともある。気管支鏡や他のmodalityを用いた再生検の成功率は約80%,再生検によるT790M変異の検出率は約50%と報告されている2)3)。
増大した肺原発腫瘍の辺縁は線維化していて,鉗子で複数回生検しても悪性所見を得られないことがある。中枢病変に対しては超音波気管支鏡ガイド下針生検(EBUS-TBNA),末梢病変に対しては経気管支穿刺吸引細胞診(TBAC)を行うことも選択肢のひとつである。
【文献】
1) 日本肺癌学会, 編:肺癌診療ガイドライン2017年版. 金原出版, 2017, p17.
2) Arcila ME, et al:Clin Cancer Res. 2011;17(5):1169-80.
3) Kirita K, et al:lung. 2016;194(3):371-8.
【解説】
中山雅之*1,萩原弘一*2 自治医科大学呼吸器内科 *1講師 *2教授