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SGLT2阻害薬に関する大規模臨床試験

No.4940 (2018年12月29日発行) P.51

藤田義人 (京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学)

稲垣暢也 (京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学教授)

登録日: 2018-12-27

最終更新日: 2018-12-20

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【心血管イベント抑制・腎保護効果が報告】

SGLT2阻害薬は,血糖低下作用に加えて体重減少効果や血圧低下作用を有する経口糖尿病治療薬である。いくつかの大規模臨床試験で心血管イベント抑制効果や腎保護効果が報告されている。

EMPA-REG OUTCOME試験では心血管疾患の既往がある2型糖尿病患者に対するエンパグリフロジンの投与(2.6年)により,一次エンドポイント(心血管死,非致死性心筋梗塞,非致死性脳卒中)の発症率が低下した1)。また,心血管疾患による死亡が38%,心不全による入院が35%,総死亡が32%減少した。サブ解析では顕性アルブミン尿への進行,血清クレアチニン値の倍化,透析導入などの腎症の発症・進展リスクが39%低下した。CA NVAS Programでは2型糖尿病患者(65.6%が心血管疾患の既往あり)に対するカナグリフロジンの投与(3.6年)により,一次エンドポイント(同上)の発症率が14%低下した2)。また,アルブミン尿への進行率を27%,腎症の発症・進展リスクを40%減少させた。安全性については両試験ともに性器感染症の増加を認めたほか,CANVAS Programでは下肢切断リスクが1.97倍,骨折リスクが1.26倍増加した。

複数の試験結果が,心血管イベント抑制効果や腎保護効果がSGLT2阻害薬のclass effectである可能性を示唆している。今後も新たな大規模臨床試験結果の発表が予定されており,適正に使用するためのエビデンスの蓄積が期待される。

【文献】

1) Zinman B, et al:N Engl J Med. 2015;373(22): 2117-28.

2) Neal B, et al:N Engl J Med. 2017;377(7):644-57.

【解説】

藤田義人,稲垣暢也  京都大学大学院医学研究科糖尿病・内分泌・栄養内科学 *教授

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