文部科学省の「大学入学者選抜の公正確保等に関する有識者会議」(座長=岡本和夫独立行政法人大学改革支援・学位授与機構顧問)は5日、初会合を開いた。今春にも提言をまとめ、来年度入試の実施要項に反映する方針。
同会議は、医学部不正入試問題を受けて設置された。大学入試の公平性確保に向け、①入試のあり方、②募集要項の記載内容など受験生への情報提供のあり方、③出願、試験、合否判定の各段階の留意事項―を検討する。
浅田和伸文部科学戦略官は、実施要項の記載について「入試は公正かつ妥当な方法により行うとされているが、公正性の基準が具体的に示されていない」との課題を挙げ、「大学の自主性、アドミッション・ポリシー、建学の精神を大事にしつつ、手続きの公正性・透明性を確保した、すべての学部学科の共通ルールを示していくことが必要だ」と述べた。
文科省は昨年12月、医学部不正入試問題に関する「最終まとめ」を公表。特定の受験生の優遇や、性別・年齢などの属性で取扱いの差異を設けることといった不適切な入試の考え方を提示した。同会議では、この考え方を基に、全学部に適用するにあたっての検討を進めるという。
会議冒頭の挨拶で岡本氏は、「(大学において)最も肝心なのはどのような学生が外に出ていくかということだ」と強調。「不正入試の事例があったときに、日本の大学が世界的に信用を得られるのか。そういうことを認識しなければいけない」と指摘した。