日本老年医学会と日本糖尿病学会は4日、高齢糖尿病患者の血糖コントロ-ル目標(HbA1c値)を設定する際に考慮する認知機能とADLについて、8項目の質問で総合的に評価できるアセスメントシート「認知・生活機能質問票」(DASC-8)を用いた判定法を公表した。
両学会の『高齢者糖尿病診療ガイドライン2017』では、認知機能やADLなどに応じてHbA1c値の目標を3つのカテゴリーに分けて設定する方法を示している。DASC-8は、21項目構成の「地域包括ケアシステムのための認知症アセスメントシート」(DASC-21)の短縮版。老年医学会がこのほどカテゴリー分類への有用性を確認し、使用マニュアルと共に同学会のウェブページ(https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tool/dasc8.html)に掲載した。
DASC-8では、①近時記憶障害、②時間の失見当識、③買い物、④交通機関の利用、⑤金銭管理、⑥排泄、⑦食事の摂取、⑧移動―の8項目について、1~4の4件法で評価する。HbA1c値の目標設定においては、32点満点で10点以下を「カテゴリーⅠ:認知機能正常・ADL自立」、11~16点を「カテゴリーⅡ:MCI~軽度認知症・手段的ADL低下」、17点以上を「カテゴリーⅢ:中等度以上の認知症・基本的ADL低下」の可能性が高いと判定する。
DASC-8による評価は、原則として医療・介護職または医師が、評価対象者をよく知る家族や介護者に日常生活の様子を聴き取りながら行う。家族や介護者に質問できない場合には、対象者本人への質問や観察に基づき、調査担当者自身の判断で評価する。老年医学会は、DASC-8はあくまでスクリーニングであり、「実際のカテゴリー分類には個別の評価が必要」としている。
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