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無月経・乳汁漏出症候群/PRL分泌症候群[私の治療]

No.4962 (2019年06月01日発行) P.43

瀧内 剛 (大阪大学医学部産婦人科)

木村 正 (大阪大学医学部産婦人科教授)

登録日: 2019-06-03

最終更新日: 2019-07-09

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  • 無月経・乳汁漏出症候群/プロラクチン(prolactin:PRL)分泌症候群は,性成熟期の女性に好発する疾患であり,排卵障害やそれに伴う月経異常(無月経など),乳汁漏出を呈する。原因疾患により治療方針が大きく異なるため,正確な診断が重要である。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    月経異常,乳汁漏出を呈する患者を診察したときに,本疾患を想起できるかがポイントである。高PRL血症であっても,乳汁漏出はみられず月経異常のみを示す場合もある。また,高PRL血症による月経異常は,排卵障害に起因していることが多い。つまり不妊症(1年間,避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず,妊娠の成立をみない場合)の一因でもあるので,不妊を訴える患者でも疑う必要がある。

    PRLは下垂体前葉から分泌される蛋白ホルモンであり,主に乳腺組織に作用して乳汁の分泌を促進する。また,視床下部から分泌されるドパミンによって,PRLの分泌は抑制されている。PRLは,主に視床下部におけるGnRHのパルス状分泌を抑制することにより,排卵障害を惹起する。

    【原因疾患】

    高PRL血症の原因として,PRL産生下垂体腫瘍,薬剤性(向精神薬,制吐薬,胃薬など),原発性甲状腺機能低下症,機能性高PRL血症に大別される。薬剤性高PRL血症では,ドパミンの産生が抑制され,PRL分泌が促進している。原発性甲状腺機能低下症では,亢進した甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(thyrotropin-releasing hormone:TRH)がPRLの分泌も促進する。

    【検査所見】

    血中PRL値が正常上限を超えた場合に「高PRL血症」と診断するが,正常値は測定系によって異なる点に注意する。30 ng/mLを上限とすることが多い。また,血中PRL値は変動しやすく,運動後,食後および排卵から黄体期に高くなるため,月経7日以内の空腹時に安静で採血することが望ましい。

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