高血圧合併女性では,非妊娠時から妊娠初期にかけて十分な降圧を行い,母体臓器障害や子宮胎盤機能不全を予防あるいは早期に発見する
腎疾患合併妊婦における加重型妊娠高血圧腎症(SPE)合併は,周産期予後を悪化させるため早期からの食事療法や降圧療法が重要である
妊娠高血圧腎症(PE)には,常に母児の病態が急変するリスクがあるため軽症という概念がなくなり,基本的に入院管理とし,胎児が十分に成熟していればターミネーション(妊娠終結)を考慮する
重症高血圧でない妊娠高血圧(GH)は外来管理が可能であるが,PEのハイリスク因子である
今回の定義改定において妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of pregnancy:HDP)は4つの病型に分類された。新しく病型に含められた高血圧合併妊娠(chronic hypertension:CH)は,非妊娠時から妊娠初期,そして,産褥・産後における長期にわたる管理が必要である。
妊娠高血圧(gestational hypertension:GH)あるいはCHでは,その症状・症候によって外来管理(1~2回以上/1~2週)が可能となるが,母体臓器障害や子宮胎盤機能不全を発症する可能性があるため慎重な健診が必要である。
血圧測定,体重測定,尿検査(蛋白・クレアチニン),血液検査(血算〔ヘマトクリット,血小板数〕・トランスアミナーゼ・尿酸・LDH・クレアチニン・BUN・アンチトロンビン活性・APTT・PT・フィブリノゲン・FDP-D-ダイマー),超音波検査(胎児発育・胎盤所見・子宮胎盤血流〔子宮動脈PI:血管抵抗:pulstility index・中大脳動脈PIなど〕・羊水量),胎児心拍モニタリング(cardiotocography:CTG)などを外来で評価する一方,家庭血圧測定(home blood pressure measurement:HBPM)を指示し,数日間の血圧平均値が135/85mmHg以上であれば外来を受診するよう指示する。
高ヘマトクリット値に伴う血液濃縮所見に注意し,血小板数が15万/mm3未満であれば母体臓器障害と診断し,10万/mm3未満となった場合は要注意である。