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心房細動に対するクライオバルーンアブレーションの適応と臨床成績および今後の展望は?

No.4967 (2019年07月06日発行) P.51

小田倉弘典 (土橋内科医院院長)

井上耕一 (桜橋渡辺病院心臓・血管センター不整脈科長)

登録日: 2019-07-05

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  • 心房細動に対するクライオバルーンアブレーションが普及してきましたが,適応,有効性,安全性および今後の展望について,従来の高周波カテーテルアブレーションと比較して,桜橋渡辺病院・井上耕一先生のご教示をお願いします。

    【質問者】

    小田倉弘典 土橋内科医院院長


    【回答】

    【高周波カテーテルアブレーションと同等であり,手技は容易である。今後,適応が広がることが期待される】

    心房細動に対する治療法として,急速に広まっているのがカテーテルアブレーションです。心房細動の多くは肺静脈起源の上室期外収縮から引き起こされることが知られます。肺静脈の電位を消すことで,心房細動の治療が可能(ただし,完治というよりは寛解に近い)であり,肺静脈の電位を左心房から電気的に隔離する肺静脈隔離術が心房細動に対するカテーテルアブレーションの標準治療です。従来行われてきた高周波カテーテルアブレーション(radiofrequency catheter ablation:RFCA)では,先端径2mm程度の通電カテーテルを操作しながら肺静脈の周囲を線状に高周波通電で焼灼することにより伝導のブロックラインを形成し,肺静脈隔離します。しかし,これは技術的には簡単ではなく,それゆえの再発があり,時間もかかることから,より簡単な方法が求められていました。

    このニーズに応えるために開発されたのがクライオバルーンアブレーション(cryoballoon ablation:CBA)です。これは,①しぼんだバルーンを左心房に挿入,②バルーンを膨らませて肺静脈の入口部に押し付けて閉塞させる,③バルーン内に亜酸化窒素を噴射し,気化熱で摂氏-80度まで冷やすことで,肺静脈入口部の心筋細胞を凍結壊死させ肺静脈隔離する方法です。

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