原発性肺癌の約15%を占め,発症には喫煙との関連が強く,喫煙経験のない者からの発症は稀である。進行・転移が早く,多くは進行期・局所進行期で診断される。早期診断され手術適応となることは稀である。
血痰,呼吸困難などの呼吸器症状のほか,体表リンパ節腫脹,上大静脈症候群(顔面,頸部,上肢の浮腫)や,神経筋症状のような腫瘍随伴症候群が発見の契機となることも稀ではない。
気管支鏡などによる腫瘍生検を行い組織型の確定診断を行う。非小細胞肺癌の成分に小細胞肺癌の成分が混じていても小細胞肺癌と診断する。全身の造影CTおよび脳MRI検査などにより病期分類を行う。TNM分類のほかに病変が一側胸郭にとどまる限局型(limited stage)と,病変が一側胸郭を超える進展型(extensive stage)の分類も重要であり,治療方針に直結する。CT検査などにより遠隔転移が明らかであればそれ以上の病期診断は不要と考えるが,CTで明らかな遠隔転移の所見がない場合はPET/CTによる精査を追加する。骨髄機能,肝機能,腎機能,呼吸機能などの評価,間質性肺疾患の有無の確認,および全身状態の評価(ECOGのPSを用いる)は治療方針を検討する上で必須である1)。
TNM分類(UICC,第8版),限局型・進展型の分類,臓器機能障害の有無,全身状態,年齢により治療方針を決定する。限局型の治療目的は治癒と生存期間の延長などであり,進展型の治療目的は生存期間の延長とQOLの改善などである。
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