【質問者】
新井康通 慶應義塾大学百寿総合研究センター専任講師
【低侵襲のTAVIと併存症を考慮した体液量の管理が主な治療法となる】
超高齢社会を迎えたわが国では,高齢心不全患者の増加が見込まれています。高齢者や90歳以上の超高齢者では大動脈弁狭窄症(aortic stenosis:AS)と左室収縮機能の保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)が増加します。欧米では高齢者の3.38%が重症ASを有すると報告されました。ASは変性が原因であり,加齢,LDLコレステロール,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD),高血圧,喫煙などが関係する生活習慣病のため,これらの予防と低侵襲の経カテーテル的大動脈弁置換術(transcatheter aortic valve implantation:TAVI)が主な治療法となります。HFpEFは左室拡張機能障害を基礎とします。高齢になると高血圧症が増加して左室肥大が進行し,左室の求心性リモデリングや心筋の線維化から心室のコンプライアンスが低下します。虚血性心疾患も左室拡張機能障害と関係しますが,超高齢者でその割合はむしろ減少します。
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