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経皮的左心耳閉鎖術の適応・治療法・治療成績について

No.4978 (2019年09月21日発行) P.55

井上耕一 (桜橋渡辺病院心臓・血管センター不整脈科長)

山﨑 浩 (筑波大学医療医学系循環器内科講師)

登録日: 2019-09-20

最終更新日: 2019-09-17

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  • 心房細動からの脳卒中・全身性血栓塞栓症の予防のための新しい治療法として経皮的左心耳閉鎖術が本邦でも承認されました。適応・治療法・治療成績について筑波大学・山﨑 浩先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    井上耕一 桜橋渡辺病院心臓・血管センター不整脈科長


    【回答】

    【WATCHMANTMの有用性を示す試験結果が得られた】

    非弁膜症性心房細動においては,心房内で形成される90%以上の血栓が左心耳内に由来することが報告されており,新たな心原性脳塞栓予防法となる経皮的左心耳閉鎖デバイスに期待が集まっています。WATCHMANTM(Boston Scientific社)は,2つの無作為化試験(PROTECT AF試験およびPREVAIL試験)により長期ワルファリン内服に対する有効性・安全性の検証が行われた唯一の経皮的左心耳閉鎖デバイスです。

    PROTECT AF試験およびPREVAIL試験は,脳梗塞リスクを有する(CHADS2スコア≧1)心房細動患者における長期ワルファリン内服に対するWATCHMANTMの非劣性を検証する目的で実施されました。2つの試験の統合解析(対象患者:1114人,経過観察期間:4343人年)においては,WATCHMANTM群と長期ワルファリン内服群の有効性評価項目(脳卒中,全身性塞栓症,心血管死亡/原因不明死)および安全性評価項目(重大な出血,手技関連合併症)に有意差は認められませんでした。また,虚血性脳卒中の発現率は両群で有意差が認められなかったものの,出血性脳卒中(ハザード比:0.2,95%信頼区間:0.07~0.56,P<0.01),後遺障害を伴う/致死的脳卒中(ハザード比:0.45,95%信頼区間:0.21~0.94,P<0.05),心血管死亡/原因不明死(ハザード比:0.59,95%信頼区間:0.37~0.94,P<0.05)のイベント発現率は,WATCHMANTM群で有意な低下が認められました。

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