【質問者】
吉里俊幸 久留米大学医学部産婦人科学講座教授
【現在のわが国の大気汚染状況であっても,周産期の様々な疾患発症に影響を及ぼしている】
世界保健機関(WHO)は2019年1月,世界の健康への10大危機を発表しました。はじめの2項目は,「大気汚染と気象異常」「不摂生や大気汚染で生じやすくなる糖尿病・がん・心疾患などの非感染症」であり,大気汚染が世界的に問題視されていることがわかります。
1950~60年代,ロンドンスモッグ事件や四日市喘息など,世界各地の大気汚染は多くの死者を出し,いわゆる公害が問題となっていました。その後,環境対策によって,一部の地域を除き大気の状況は改善されてきたように思われました。しかし,近年の大気汚染レベルであっても様々な疾患にいまだに影響を及ぼしていることが明らかとなっています。
残り802文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する