【質問者】
佐村 修 東京慈恵会医科大学産婦人科准教授
【母体臓器障害と胎児機能不全の状況により決定するが,明確な基準はない】
胎児機能不全を伴うものをpreeclampsia(PE,日本語訳は妊娠高血圧「腎症」のままであり改訂を検討中)と定義し,より深刻な病態として入院での管理が推奨されています。
HDP全体に言えることですが,根本的な治療法は妊娠終結しかなく,遅発型(妊娠34週以降の発症と定義されますが,わが国では32週を分岐点とする意見も多く聞かれます)であれば脳性麻痺などの児の予後不良も少なくなるため,帝王切開や分娩誘発を選択することは比較的容易です。しかし早発型,それも高度な人工呼吸管理などの新生児集中治療を要する妊娠28週以前や,1000g以下の超低出生体重児出生が予測される場合には,児の娩出のタイミングに苦慮することも多くあります。HDPに関連した(人工を含む)早産はすべての早産児の中で脳性麻痺発症の最も高いリスク因子とする報告も多くあります1)。一方で,入院して持続した胎児心拍モニタリング(cardiotocogram:CTG)を行っても胎児死亡に至る例があり,児に生存のチャンスを与えないまま亡くしてしまうことは何としても避けなくてはなりません。
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