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子宮破裂[私の治療]

No.5013 (2020年05月23日発行) P.57

牧野真太郎 (順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科教授)

登録日: 2020-05-20

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  • 子宮破裂は妊娠または分娩中に起こる子宮裂傷を言い,わが国での発生頻度は0.015%(152/102万7249分娩)ときわめて稀である。先進国における子宮破裂の主な原因は瘢痕子宮破裂であると言われている1)2)。裂傷の程度により,子宮筋層から漿膜までが完全に断裂した「完全子宮破裂」と子宮漿膜や広間膜に裂傷が及ばない「不全子宮破裂」に分類される。また,その原因により,帝王切開や子宮筋腫核出などの子宮手術既往による「瘢痕子宮破裂」と,手術既往のない「非瘢痕子宮破裂」に大別される。

    ▶診断のポイント

    子宮破裂の最初の徴候は異常胎児心拍パターンの出現であり,突然の胎児徐脈でのコールが多くなる。子宮破裂を起こした際には,母体はショック状態となるため,バイタルサインの確認を併せて行うことが重要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    胎児心拍数モニターや超音波検査などを行い,子宮内環境を把握する。母体は視診やバイタルサインなどでまず全身状態を把握し,大量の外出血や腹部超音波検査で腹腔内出血が認められる場合には,「産科危機的出血への対応指針」に準じて,採血(血算,生化学,凝固検査,クロスマッチ)および点滴・輸血を開始し,麻酔科・手術室・新生児科・放射線科など,必要に応じて人員確保する。胎児心拍や母体の状態によっては,十分な術前検査を行えないままでも緊急帝王切開術に移行する。分娩前ならまず腹部超音波検査を行うが,分娩後は内診・腟鏡診・ゾンデ診などで鑑別する。特に器械分娩などでは,頸管裂傷が延長して子宮下部に及び子宮破裂を伴っている場合があるので,注意する。緊急度に応じて,造影CT検査などを追加する。

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