一般的に妊娠可能女性の20~30%に子宮筋腫を認めると報告されている。
筋腫の個数,大きさ,および胎盤との位置関係を経時的に評価する。
妊娠中の子宮筋腫の発生頻度は超音波検査で評価した場合,1st trimesterで約10%,2nd trimesterで約3%に認められたと報告されている。
子宮筋腫の個数,大きさ,胎盤との位置関係などは,妊娠初期の段階から継続的に評価していく必要がある。筋腫の存在により,妊娠中の合併症(切迫流早産,前置胎盤,常位胎盤早期剥離,羊水異常,妊娠高血圧症候群,前期破水)や分娩時の合併症(陣痛異常,異常出血,分娩停止)の頻度が上昇するため,注意する。特に筋腫と胎盤が接している場合には,流早産,常位胎盤早期剥離,産後出血の頻度が高くなり,筋腫径5cm以上,筋腫容量200cm3以上の場合に増加する1)。
筋腫合併妊婦の13〜28%に筋腫部位の疼痛,あるいは下腹部痛を経験する。その機序として筋腫変性が考えられており,疼痛時にはCRP上昇を伴いやすく,疼痛消失後はCRPも正常化することが多い。疼痛の持続時間は多くの場合1~2週間程度である。
子宮筋腫部位の疼痛または下腹部痛が,妊婦の活動性を低下させるようであれば,下記による除痛を検討する。
一手目 :カロナール®錠(アセトアミノフェン)1回200mgまたは500mg 1日1~4回(頓服,毎食後,6時間ごと,など)
二手目 :〈処方変更〉アセリオ®注(アセトアミノフェン)1回1000mgを15~30分で点滴静注,6時間ごと
三手目 :〈二手目に追加〉ソセゴン®注(ペンタゾシン)15~30mgを15~30分で点滴静注,またはフェンタニル®注(フェンタニル)0.02~0.04mL/kg/時(フェンタニルとして1~2μg/kg/時)で持続静注
妊娠中の筋腫核出術は一般的には推奨されない。また,核出術の際の出血量増大のために帝王切開時の筋腫核出術も,一般的に勧められない。
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