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性分化異常[私の治療]

No.5054 (2021年03月06日発行) P.53

梶原由衣 (大分大学医学部産科婦人科学講座)

河野康志 (大分大学医学部産科婦人科学講座准教授)

登録日: 2021-03-03

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  • 性分化疾患(disorders of sex development:DSD)とは染色体,性腺,または解剖学的性(内外性器の発育)が非定型である状態と定義される1)。DSDの多くは第二次性徴遅延や原発無月経などを主訴に受診する。
    原発無月経の定義は「18歳以上で初経未発来」であるが,初経年齢の低下により18歳未満で受診する場合も増加しており,15歳以上は診療の対象とすべきと考える。各疾患の鑑別は,詳細な問診のほかに外性器所見,内分泌検査,画像検査,染色体検査および遺伝子検査などが必要となり,遺伝カウンセリングを要する場合もある。

    ・46, XY DSD:代表的な疾患として,アンドロゲン不応症(androgen insensitivity syndrome:AIS),XY純粋型性腺形成不全症(Swyer症候群),Leydig細胞欠損症やテストステロン合成異常症などがある2)。性腺,内外性器の男性化障害であり,外性器が完全女性型であれば,原発無月経を主訴に発見されることが多い。性腺分化・形成異常,ホルモン合成阻害,アンドロゲン受容体障害などが原因であるが,原因遺伝子が同定されないこともある。表現型,性自認は女性である場合がほとんどで,第二次性徴異常に加えて妊孕性がなく,恋愛や結婚で悩む場合が多い2)。正確な鑑別診断を行った上で十分なカウンセリングが必要である。

    ・46, XX DSD:21水酸化酵素欠損症(21- hydroxylase deficiency:21-OHD)は出生1~2万人に1人の頻度で発症し,46, XX DSDのうち最多である3)。外性器異常で受診するか,新生児マス・スクリーニングで発見される3)。皮膚色素沈着があり,外性器は男性化徴候を示す場合,超音波検査で子宮・卵巣などの内性器を同定できれば迅速な参考所見となる。酵素欠損によりコルチゾール合成が減少するため副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は上昇し,コルチゾール前駆体(17-ヒドロキシプロゲステロンなど)の蓄積と,デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)およびアンドロステンジオンの過剰産生が起こる。アルドステロン欠乏による塩喪失で,低ナトリウム血症および高カリウム血症を発症する病型もある。

    ▶診断のポイント

    ・月経歴(原発無月経かどうか)
    ・局所所見(視診で身長,乳房の発育,外陰の形態,腟の有無,内診や超音波検査,MRI検査等で腟,子宮,卵巣の有無を確認する)

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    本稿では女性としての性自認を有していることを前提とする。いずれも速やかに婦人科専門施設を受診することが基本となる4)

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