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周産期領域における細菌叢解析で期待されることは?

No.5057 (2021年03月27日発行) P.49

春日義史 (慶應義塾大学医学部産婦人科)

漆山大知 (福岡大学医学部産婦人科学教室講師)

登録日: 2021-03-25

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  • 周産期領域における細菌叢解析で期待されることについてご教示下さい。福岡大学・漆山大知先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    春日義史 慶應義塾大学医学部産婦人科


    【回答】

    【新たな予防・治療法が確立され,周産期管理が飛躍的に向上すること】

    はじめに,「細菌叢解析」について概説します。ヒトの場合,様々な組織に常在する細菌群(細菌叢)は,ヒトの代謝や免疫系に関与し,遺伝的背景や年齢・地理的環境・食習慣・生活環境・各種疾患などの違いにも関連すると言われています。従来,細菌叢は培養法によって様々な研究が行われましたが,培養可能な微生物しか研究されませんでした。しかし近年,次世代シークエンサーの登場によって,微生物由来のDNAを網羅的かつ定量的に解析できるようになりました。この方法を用いて国際的な大型プロジェクトが複数立ち上がり,前述のようなヒト常在細菌叢に関する知見が集積されてきました。

    周産期領域で常在細菌叢との関連が指摘される主な疾患は,早産・細菌性腟症・絨毛膜羊膜炎(子宮内感染・子宮内炎症)・不妊症・子宮内膜炎などです。これまでの様々な研究によって,不妊症の原因となりうる子宮内膜炎や,早産の原因となりうる細菌性腟症や絨毛膜羊膜炎は,腟内細菌叢との関連が大きいことがわかっており,一部では新しい予防法・治療法の開発も始まっています。

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