1 体重減少の診断と発見
・体重減少と診断する目安は,6~12カ月で5%以上の体重減少もしくは6カ月で2kg以上の体重減少である。
・体重減少を,本人や家族が訴える場合でも医療者が発見する場合でも,実際に体重を測定して確認する。
2 体重減少の医療面接と身体診察
・まず,体重減少の分析としてOPQRSTを確認する。
・意図的な体重減少かどうか,問題のある体重減少かどうかを確認する。
・体重以外に,下腿周囲長,上腕周囲長,上腕三頭筋皮下脂肪厚を評価する。
3 体重減少の診断推論
・高齢者の食欲低下や体重減少の原因究明には,MEALS ON WHEELSが使用されている。
・高齢者の体重減少でよくある原因は,悪性腫瘍,消化器疾患,抑うつ状態,薬剤性,摂食嚥下障害である。
4 リハビリテーション栄養
・高齢者の体重減少への対応には,“リハビリテーション栄養”の考え方が有用である。リハビリテーション栄養とは,生活機能やQOLを最大限高める,「リハビリテーションからみた栄養管理」や「栄養からみたリハビリテーション」である。
5 リハビリテーション栄養診断
・栄養障害(低栄養),サルコペニア,栄養素摂取の過不足の有無と原因追及を行う。
・低栄養はGLIM基準,サルコペニアはAWGS 2019,栄養素の摂取不足は「日本人の食事摂取基準」などで診断する。
6 リハビリテーション栄養ゴール設定
・リハビリテーションと栄養のゴール設定は,SMARTに行う。
・①改善すべき低栄養か? ②改善できる低栄養か? という2つのキークエスチョンがともにYesの場合に,栄養改善をめざしたゴールを設定する。
7 1日エネルギー必要量の計算方法
・1日エネルギー必要量=1日エネルギー消費量+1日エネルギー蓄積量
・エネルギー蓄積量を加味して体重増加をめざした栄養療法を“攻めの栄養療法”と呼ぶ。
8 リハビリテーション栄養モニタリング
・栄養とリハビリテーションのゴールが達成されたかをモニタリングする。
・攻めの栄養療法では,エネルギー摂取過多によって,高血糖,脂質異常症,脂肪肝,腎障害,電解質異常を認めることがある。そのため,血液検査で該当項目をモニタリングする。