【質問者】
池田 慧 神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科医長
【様々なデータを対象とした研究が検討されており,その重要性は高まることが期待される】
肺癌治療は,この10年間で目覚ましく発展しています。遺伝子変異を有する肺癌に対する分子標的薬が従来の化学療法に比べて飛躍的に効果を認めており,対象となる遺伝子変異も増加傾向にあることは,肺癌診療ガイドラインの遍歴を見れば明らかです1)。
遺伝子変異の中には発生がきわめて稀な変異もあり,症例数が少ない疾患群も存在します。これに加え免疫療法の効果予測となるPD-L1の発現(tumor proportion score:TPS)を考慮すればさらに細分化され,このような稀少疾患群での前向き臨床試験の実施はきわめて困難と考えられます。これを解消する方法として,実臨床データ,いわゆるRWDを用いて解析することが進められており,稀少疾患である男性乳癌に対するパルボシクリブの承認をRWDで申請して米国食品医薬品局(FDA)が認めた事案はその1例です2)。
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