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特集:誤嚥性肺炎のABCDEアプローチ

No.5138 (2022年10月15日発行) P.18

森川 暢 (市立奈良病院総合診療科)

登録日: 2022-10-14

最終更新日: 2022-10-13

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2010年兵庫医科大学卒業。東京城東病院総合内科などを経て,2019年より現職。JADECOM総合診療プログラム「地域医療のススメ」“奈良”プログラム責任者。多職種による誤嚥性肺炎への包括的介入の普及に取り組む。編著に『誤嚥性肺炎ただいま回診中!』(中外医学社)など。

1 誤嚥性肺炎のABCDEアプローチの概要
•誤嚥性肺炎診療は,“絶食,抗菌薬,言語聴覚療法”のみでは,不十分である。
•誤嚥性肺炎においては,包括的介入が予後を改善しうる。
•包括的介入においては,多職種連携が重要である。

2 診断と急性期医療
•フレイルを伴う高齢者の肺炎は,誤嚥性肺炎として対応するほうが無難である。
•誤嚥性肺炎の診断には,嚥下障害に加えて画像所見も加味することが重要であり,安易に誤嚥性肺炎と診断しないようにする。
•嚥下障害の原因検索と評価が重要である。
•誤嚥性肺炎の抗菌薬には,アンピシリン・スルバクタムが使用されることが多い。

3 誤嚥性肺炎と早期経口摂取
•誤嚥性肺炎では,早期経口摂取が予後を改善させることが常識となっている。
•誤嚥性肺炎では,安易な絶食は禁忌である。
•食事開始基準を満たせば,慎重に嚥下ゼリーを開始し,徐々に食物形態をステップアップさせる方法が無難である。
•言語聴覚士(ST)がいない病院でも,医師や看護師がフードテストや水飲みテストを最低限行えるようになることが重要である。
•早期経口摂取を実現するためにも,多職種チームでの介入が重要である。

4 誤嚥性肺炎における口腔ケアの有効性
•歯科医師による専門的な口腔ケアは,誤嚥性肺炎の発症を予防する。
•OHATを活用しつつ,義歯不良,口腔不衛生,う歯,残存歯に注目する。
•歯科衛生はフレイル,認知機能などとも密接に関連する。
•医科歯科連携は誤嚥性肺炎診療のみならず,高齢者医療で非常に重要である。

5 誤嚥性肺炎患者における薬剤調整,せん妄への対応,神経疾患
•誤嚥性肺炎患者において,嚥下機能を低下させる薬剤の減量や中止を考慮する。
•薬剤性パーキンソニズムを引き起こす薬剤に注意する。
•抗精神病薬と制酸薬も,肺炎の原因として重要である。
•誤嚥性肺炎でもせん妄への対応が重要であり,非薬物療法を中心とした包括的介入を行う。
•誤嚥性肺炎においても,薬剤師が介入するチームアプローチが有用である。

6 栄養,リハビリテーション,倫理的問題
•言語聴覚療法と理学療法を早期に導入することで,予後が改善する。
•早期経口摂取も,嚥下訓練として意識する。
•リハビリテーション栄養は,誤嚥性肺炎診療においても重要である。
•早期経口摂取と末梢静脈栄養の組み合わせで,経口摂取の早期安定を図る。
•誤嚥性肺炎患者の軌跡を意識することが重要である。
•臨床倫理の4分割表を有効利用するためにも,多職種カンファレンスの実践,医学的適応についての吟味,が重要である。

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