(質問者:千葉県 M)
(1)廃用症候群の定義について
廃用症候群とは,身体の不活動によって引き起こされる二次的な障害の総称です。「生活不活発病」とも言われています。廃用症候群は廃用によって起こる様々な症状を指し,原因となる疾患も多岐にわたるため,明確な診断基準を有さず,厚生労働省においても,廃用症候群の定義はありません。
高齢者に多いことですが,体力の衰えと筋力低下で,体を動かすのがついつい億劫になり,横になっている時間が増えてきます。そうなると,腰の痛みや,膝の痛み,歩行時のバランスが悪くなり,ますます,体が動かせなくなります。また,入院などを契機に,安静を強いられることで,起居動作や歩行が困難になることも多々あることです。脳卒中後遺症・パーキンソン病・種々の骨関節疾患を有する方,心疾患や呼吸器疾患,腎臓病や肝機能障害などを有する方などには,安静の影響はより大きなものとなります。
廃用症候群においては予防が非常に重要です。
(2)発症の原因となる病気
廃用症候群の原因は過度の安静(不必要な安静)による心身の活動性の低下であり,あらゆる疾患がその原因となります。典型的な疾患については,次に示す通りです。
・骨関節疾患(ギプス固定や安静)
・肺炎(安静臥床・食事制限)
・種々の感染症(発熱・脱水・倦怠感・疲労感)
・うつや認知症(生活意欲の低下・食欲低下)
・各種の消化器疾患(食事制限・栄養障害)
・便秘(食欲不振・活動性の低下)
・脳卒中後遺症やパーキンソン病などの神経疾患(嚥下障害・栄養障害・活動性低下)
・呼吸器疾患(呼吸不全・活動性低下・嚥下障害・栄養障害)
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