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クループ症候群[私の治療]

No.5148 (2022年12月24日発行) P.47

益田博司 (国立成育医療研究センター総合診療部総合診療科)

登録日: 2022-12-26

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  • クループ症候群は,犬吠様咳嗽,嗄声,吸気性喘鳴,吸気性呼吸困難を主症状とする喉頭の狭窄を示す病態の総称である。クループ症候群の原因の多くは,パラインフルエンザウイルスであるが,RSウイルスやインフルエンザウイルスなどの呼吸器系ウイルスが原因となることもある。ウイルスが原因のクループ症候群(ウイルス性クループ)がほとんどだが,広義のクループ症候群としては,頻度は稀だが細菌性として,インフルエンザ菌b型(Hib)による急性喉頭蓋炎,喉頭ジフテリア,細菌性気管支炎も重要である。これらの疾患は,死亡の危険性も高く,注意が必要である。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    発熱,上気道感染症に加えて,吸気性喘鳴や吸気性呼吸障害があり,最も特徴的な症状は,犬吠様咳嗽と呼ばれる咳嗽である。診察中に咳嗽を認めれば,診断が容易となる。問診上では,「犬が吠えるような咳」「オットセイの鳴くような咳」と表現されることもある。流涎や発語困難などの症状を認めるときは,急性喉頭蓋炎や喉頭異物などを鑑別に挙げる必要がある。

    【検査所見】

    頸部単純X線正面像で気管透亮像の狭小化(steeple sign)がよく知られているが,必須の検査ではない。ウイルス性クループは,主に病歴や身体所見から診断が可能となる。急性喉頭蓋炎では,喉頭側面高圧撮影で喉頭蓋の腫大と披裂喉頭襞の腫脹が特徴的であるが,検査は気道緊急時には優先はされない。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    クループ症候群は軽症から重症まで多岐にわたる。軽症例は対症療法で経過観察となるが,重症例では,気道緊急となる場合がある。患児が啼泣することや不機嫌になることで,呼吸状態の悪化を認める可能性があるため,細心の注意を払いながら,診療にあたる必要がある。

    患児は,医療従事者が近づくことでも過剰に反応する場合もあるが,その一方で,啼泣や不機嫌が呼吸困難によって生じている可能性もあるため,全身状態をPALS(Pediatric Advanced Life Support)に則って,PAT(Pediatric Assessment Triangle),すなわちA:Appearance(外観・見かけ),B:Work of Breathing(呼吸状態),C:Circulation to Skin(循環・皮膚色)とバイタルサインの評価をし,呼吸,循環状態を把握する。

    治療の主となるのは,アドレナリン吸入とデキサメタゾンの経口投与である。重症例では,気道管理が必要となるため,呼吸状態を常に気にかけて対応する。

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