【質問者】
本間 栄 東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科 教授
ご指摘頂きましたように,進行期肺癌患者に対する化学療法はBSCと比較して有意に予後を改善しますが,IP合併進行期肺癌患者に対しては明らかではありません。IP合併肺癌患者では,化学療法により致命的なIPの急性増悪をきたす可能性があるため,個々の患者で益と害をよく検討し,患者への説明と同意の上で,慎重に治療方針を決めることになります。
IP合併進行期肺癌患者の治療に際しては,performance status(PS)などの全身状態,IPの種類や重症度,肺癌の組織型や遺伝子変異の有無などを評価します。まずPS 0~1と全身状態が良好で,主要臓器機能の保たれている患者が化学療法の対象になります。そして必要となるのがIPの精査です。IPFは,IPF以外のIPよりも急性増悪のリスクが高く,自然経過でも年間5~15%程度急性増悪をきたします。また,IPの重症度が高いほど急性増悪をきたしやすいことも報告されています。肺癌の組織型では,小細胞癌が非小細胞癌よりも化学療法の効果が大きいと考えられます。
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