株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

間質性肺炎(IP)合併肺癌の薬物治療 【患者の全身状態とIPの種類や重症度などを評価した上で適切な治療を施行】

No.4819 (2016年09月03日発行) P.56

本間 栄 (東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科教授)

岸 一馬 (虎の門病院呼吸器センター内科部長)

登録日: 2016-10-19

最終更新日: 2016-10-19

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 間質性肺炎(interstitial pneumonia:IP),特に特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)には高率に肺癌が合併します。既存のIPは,化学療法による薬剤性肺障害の危険因子であるため,IP合併肺癌患者に化学療法を行う場合には,IPの急性増悪ないし薬剤性肺障害が問題になります。進行期肺癌患者に対する化学療法は,best supportive care(BSC)と比較して有意に予後を改善しますが,IPの存在は除外基準になっていることが多く,IP合併肺癌患者に対する化学療法の有用性は明らかではありません。そこで,最近の新規薬剤も含めたIP合併肺癌の治療の考え方について,この分野でのエキスパートである虎の門病院・岸 一馬先生のご教示を。

    【質問者】

    本間 栄 東邦大学医療センター大森病院呼吸器内科 教授


    【回答】

    ご指摘頂きましたように,進行期肺癌患者に対する化学療法はBSCと比較して有意に予後を改善しますが,IP合併進行期肺癌患者に対しては明らかではありません。IP合併肺癌患者では,化学療法により致命的なIPの急性増悪をきたす可能性があるため,個々の患者で益と害をよく検討し,患者への説明と同意の上で,慎重に治療方針を決めることになります。

    IP合併進行期肺癌患者の治療に際しては,performance status(PS)などの全身状態,IPの種類や重症度,肺癌の組織型や遺伝子変異の有無などを評価します。まずPS 0~1と全身状態が良好で,主要臓器機能の保たれている患者が化学療法の対象になります。そして必要となるのがIPの精査です。IPFは,IPF以外のIPよりも急性増悪のリスクが高く,自然経過でも年間5~15%程度急性増悪をきたします。また,IPの重症度が高いほど急性増悪をきたしやすいことも報告されています。肺癌の組織型では,小細胞癌が非小細胞癌よりも化学療法の効果が大きいと考えられます。

    残り326文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top