「標準肢誘導」と「胸部誘導」に関しては,既にこの心電図レクチャーでも扱いましたので,いよいよ最後に残った「増幅肢誘導」の話をしましょう。解説したい内容が盛りだくさんすぎて(笑),前編・後編の2回にわけることにしました。
「増幅肢誘導」というのは,わが国での標準的なフォーマットである6行×2列(A4サイズ)で言いますと,“左下”に位置する3つの誘導に相当します。「aV*」(エーブイなんとか)と表記されますよね。
ボクが心電図を学び始めた頃,どうしてこんな不思議な表現をするのかすごく気になりましたが,誰も教えてくれませんでした。皆さんの中にも,
「そもそもaV*っていう誘導は何を見ているの?」
「aV*の“a”って何?どうして“増幅”なの?」
なんていう方もきっといるのではないですか?
国内の教科書を見渡す限り,あまり詳しく取り上げられることのない「増幅肢誘導」につき,丁寧に解説していきたいと思います。今回も問題形式で話を進めていくことにしましょう。