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【文献 pick up】外来心不全患者に対するSGLT2阻害薬導入の実臨床における安全性

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2023-08-18

最終更新日: 2023-08-18

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左室駆出率(EF)の高低を問わず心不全治療に必須となった感のあるSGLT2阻害薬だが、ランダム化比較試験で示された「有用性」に比べ、実臨床における「安全性」は必ずしも明らかではなかった。ESC Heart Failure誌は8月7日、この点に関する米国の観察研究を「短信」として掲載した。報告者は米国・ミシガン大学のBryan O. Pérez Martínez氏ら。

今回の解析対象は、ミシガン大学心不全クリニックにて外来でSGLT2阻害薬を開始後、30日間の観察が可能だったHFrEF患者200例である。

平均年齢は60.8歳、男性が64.5%を占めた。EF平均値は27%NYHA分類は「Ⅱ」度が最多で51.5%、次いで「Ⅲ」度の33.5%だった。ループ利尿薬用量はフロセミド換算で93.3mgである。

糖尿病合併率は52%、血清クレアチニン平均値は1.16mg/dLだった。

これらを対象に、SGLT2阻害薬開始後の服薬中止と急性腎障害(AKI)の発生頻度を観察した。

その結果、服用開始後30日間のSGLT2阻害薬中止率は9%(18例)だった。服薬中止理由で最多だったのは「カンジダ症」(33%)、そして「低血圧」(28%)、「AKI」(22%)が続いた。

また服薬中止にまで至らなかったものまで含めると、AKIの発生率は11%22例)だった。

なお9.5%19例)ではループ利尿薬が減量され、0.5%(1%)では増量が実施されていた。

Martínez氏らはHFrEF例への外来SGLT2阻害薬開始後短期の「忍容性は高く」、「AKI頻度は低い」と評価した。

本報告の利益相反は開示されていない。

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