妊娠中あるいは分娩中に胎児の状態を評価する臨床検査において,正常ではない所見が存在し,胎児が健康であることに確信が持てない場合を胎児機能不全(non-reassuring fetal status:NRFS)と呼ぶ。胎児心拍数陣痛図(cardiotocography:CTG)で診断されることが多いが,偽陽性率が高く,異常を示しても脳性麻痺や胎児死亡に至るとは限らない。
分娩開始前はCTGだけでなく,バイオフィジカルプロファイルスコア(BPS)やパルスドプラ法を用いた胎児血流による評価も加え,総合的に判断する場合もあるが,分娩中の診断はCTGによる胎児心拍数モニタリング波形分類に従う。分娩中のCTG評価は,胎児心拍数モニタリングを5段階に分類して評価し,レベル3~5をNRFSと判断する。
分娩中のCTGを判読し,胎児心拍数モニタリングを5段階で評価し,NRFS(レベル3~5)と判断した場合は,以下のような対応が求められる。
レベル3:「監視の強化,保存的処置の施行および原因検索」または「保存的処置の施行および原因検索,急速遂娩の準備」
レベル4:「保存的処置の施行および原因検索,急速遂娩の準備」または「急速遂娩の実行,新生児蘇生の準備」
レベル5:「急速遂娩の実行,新生児蘇生の準備」
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