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非特異性多発性小腸潰瘍症[私の治療]

No.5189 (2023年10月07日発行) P.41

久松理一 (杏林大学医学部消化器内科学教授)

登録日: 2023-10-07

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  • 1968年に岡部らによって初めて報告された1),若年時に発症する難治性慢性の小腸潰瘍症である。性差があり,男女比は1:4で女性に多い。10~20歳代で発症することが多く,慢性の鉄欠乏性貧血と低アルブミン血症をきたす。進行例では消化管の狭窄をきたし,外科手術が必要となる。プロスタグランジン輸送蛋白をコードするSLCO2A1遺伝子の変異による,常染色体劣性遺伝病であることが判明した2)。日本における推定患者数は約400人である。

    ▶診断のポイント

    慢性に経過する貧血,低アルブミン血症,小腸の特徴的な潰瘍所見(斜走する帯状の潰瘍)から疑う。若い頃の難治性胃潰瘍の手術歴,家族歴,家系内血族結婚の有無は参考になる。また,同じSLCO2A1遺伝子の変異を原因とする肥厚性皮膚骨膜症を合併することがあり,前額部や頭部の皮膚肥厚,ばち指,X線で長管骨の骨膜性骨肥厚の有無をチェックする。遺伝子診断としてはゲノム解析が必要だが,十二指腸や小腸生検粘膜を用いたSLCO2A1蛋白の免疫染色が診断に有効なことがある。

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