子宮筋腫(uterine leiomyoma)は子宮平滑筋に発症する良性のエストロゲン依存性疾患であり,性成熟期女性の約20~30%に認める。主な症状としては,過多月経や貧血,圧迫症状(頻尿,腰痛,下腹部膨満感),下腹部痛,不妊等がある。
子宮筋腫の好発年齢は40歳前後であり,かつては出産を終えた女性が多かったため,手術といえば子宮摘出術が一般的であった。しかし近年では,晩婚化や少子化,出産年齢の高齢化に伴い,未婚女性や未産婦における子宮筋腫の発症頻度が高くなり,子宮温存療法の需要が急速に高まりつつある。
一方,症状の緩和にはホルモン製剤も時に有用であるが,偽閉経療法として子宮筋腫を縮小させる性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト・アンタゴニストは連続使用期間が6カ月以内に限定されていることもあり,術前治療や閉経逃げ込み療法として使用される場合が多い。
診断は,内診,超音波検査,CT,MRI等で行うが,子宮筋腫の大きさや位置関係を正確に把握するにはMRIが最も有用である(T1,T2強調画像で,低信号の境界明瞭な腫瘤を呈する)。またT2強調画像で高信号を呈する変性した子宮筋腫の場合は子宮肉腫との鑑別が重要であり,単純MRIで診断が難しい場合は造影MRI検査やPET-CTを追加することもある(ただし疑い病名の場合,PET-CTは自費診療となる)。
子宮内腔の変形を呈する子宮筋腫は,着床不全(不妊症)や流産のリスクがあり,妊娠希望があれば子宮温存手術の適応となる。
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