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顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症の寛解導入治療について

No.5217 (2024年04月20日発行) P.53

池田 啓 (獨協医科大学病院リウマチ・膠原病内科教授)

古田俊介 (千葉大学医学部附属病院アレルギー・膠原病内科特任准教授)

登録日: 2024-04-19

最終更新日: 2024-04-16

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  • 顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)・多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)の寛解導入治療についてご教示下さい。
    千葉大学・古田俊介先生にご解説をお願いします。

    【質問者】池田 啓 獨協医科大学病院リウマチ・膠原病内科教授


    【回答】

    【減量ステロイドレジメン+リツキシマブあるいはシクロホスファミドが推奨される】

    過去の臨床試験の結果から,2010年代のMPA/GPAの標準的な寛解導入療法は大量ステロイド+リツキシマブ(RTX)orシクロホスファミド(CPA)とされていました。この治療により実臨床における寛解導入率は80~90%まで到達したと報告されていた一方,大量ステロイドに起因すると思われる感染症などの副作用が大きな問題となっていました。このような状況のもと,2020年代になって寛解導入時に使用するステロイドを減量しようという試みが相次いで報告されました。

    重症腎炎を伴うMPA/GPAを対象としたPEXIVAS試験(NEJM,2020)では両群とも大量ステロイドで開始するものの,3カ月半でプレドニゾロン5mg/日まで減量するという急速減量群と従来通りの減量群(半年間でプレドニゾロン5mg/日まで減量)で有効性の非劣性が示されました。また,日本人の初発MPA/GPAを対象としたLoVAS試験(JAMA,2021)では,低用量ステロイド群(プレドニゾロン0.5mg/kgで治療を開始し,5カ月で投与終了)と従来通りの大量ステロイド群(プレドニゾロン1mg/kgで治療を開始し,5カ月で10mg/日まで減量)との間で寛解導入割合の非劣性が示されました。いずれの試験においても,感染症の発生は減量ステロイドレジメンを採用している群で減少していました。このことから,2023年のわが国のガイドラインや2022年の欧州リウマチ学会(European Alliance of Associations for Rheumatology:EULAR)のrecommendationでは,減量ステロイドレジメンによる寛解導入が推奨されています。

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