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■NEWS 認知症・MCI患者数は2050年に1218万人に―厚労省研究班が推計

No.5221 (2024年05月18日発行) P.71

登録日: 2024-05-15

最終更新日: 2024-05-15

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厚生労働省は58日、認知症と軽度認知症(MCI)の有病率と将来推計の研究結果を公表した。それによると65歳以上の人口に対する2022年の有病率(男女合計)は認知症が12.3%MCI15.5%で、合わせて27.8%。この有病率が今後も同じと仮定した場合、2050年の患者数は認知症が586.6万人、MCI631.2万人で、合わせて1217.8万人になると推計している。

この研究は令和5年度老人保健事業推進費等補助金で行われたもの。事業担当者は二宮利治九州大学大学院教授(衛生・公衆衛生学)で、全国6カ所(福岡県久山町、石川県中島町、愛媛県中山町、島根県海士町、岩手県矢巾町=以上悉皆調査、大阪府吹田市=無作為抽出)から約8600人の住民を対象に実施。診断基準は認知症がDSM-RMCIPetersenの基準で、医師、保健師、心理士によるスクリーニング調査と専門医による診断の2段階で行われた。

■全体としては前回とほぼ同様の傾向、MCIから認知症への進展の割合は低下

その結果、65歳以上の有病率は認知症が12.3%MCI15.5%で合わせて27.8%だった。これを年齢階級別でみると6569歳が認知症1.1%MCI6.9%。同様に7579歳で7.1%16.5%90歳以上で50.3%21.2%などとなった。認知症は80歳以降に有病率が急上昇し、85歳以上で男性に比べて女性の有病率が高くなる傾向にある。一方、MCI8589歳の27.5%まで緩やかに上昇した後、90歳以上でやや減少に転じる。男女別では85歳以上で男性のほうがやや高止まりの傾向にある。

この年齢階級別有病率が今後も一定と改定し、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口を素に推計すると、患者数は2022年に認知症443.2万人、MCI558.5万人だったのが2040年には584.2万人と612.8万人、2050年には586.6万人と631.2万人、2060年には645.1万人と632.2万人にそれぞれ増加するとしている。

2012年に行われた厚労省の前回調査では、有病率は認知症が15.0%MCI13.0%で合わせて28.0%。二宮氏は今回の結果を前回と比較して「大きな変化は認められなかった」としつつ、MCIから認知症に進展した者の割合が低下した理由として、①成人の喫煙率が全体として減少、②減塩の推進や降圧薬の普及で平均血圧が1970年代以降低下傾向にある、③糖尿病が強く疑われる者の頻度が、50歳以上の男性および70歳以上の女性では上昇傾向にあるが、50歳代および60歳代の女性では2010年以降徐々に低下傾向にある―などを挙げている。

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